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緋牡丹(仮)@国立NO TRUNKS

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2016年4月22日、国立NO TRUNKSで仮に緋牡丹と名付けられた女性四人によるライブを見た。
当初、このライブは渋さチビズ女子部としてアナウンスされた。ところが、地底新聞をチェックするとこの日の不破大輔さんは新宿ウルガで川下直広4の一員として演奏することになっていた。
「おかしいなぁ…。不破さんに確認した方がいいのかな~」と僕は密かに思っていたんだけど、どうやら不破さんは16日と間違えてダブル・ブッキングしちゃったみたいで、NO TRUNKSの方は急遽元スーパー・ジャンキー・モンキーのかわいしのぶさんがベースを弾くことになったのだそうだ。

ということで、完全なる女子部になったこのユニットは、緋牡丹という仮名がつけられたのだった。

緋牡丹(仮):かわいしのぶ(eb)、中島さち子(pf)、山田あずさ(vib)、纐纈雅代(as)

開演前、NO TRUNKSのカウンターに集まった女子四人は、何やらひそひそと演奏の打ち合わせをしているようで、その光景が何となく微笑ましかった(笑)
ステージに登場した四人は、とりあえずジャンケンして勝った順にそれぞれの持ち曲を演奏するというザックリした決め方で演奏をスタートした。

第一部

1. ひめごと(かわいしのぶ)
ちょっととぼけた感じのキュートでファニーなご挨拶代わりの小曲。

2. BLOOM(中島さち子)
幾何学的な音像で始まりフリーなたたずまいに変化した後、中島のピアノと山田のヴィブラフォンがクリスタル・サイレンスな美しい音を交換して、かわいがグルーヴィなベースを奏でる。ラストは、四人によるユニゾンで決める。

3.Little B’s Poem(Bobby Hutcherson)
ヴィブラフォン奏者のボビー・ハッチャーソンが、1965年にブルー・ノートから発表した二枚目のリーダー作の表題曲。このメンバーでの演奏も、クールな疾走感が気持ちいい。

4.橙(纐纈雅代)
日本の古謡「さくらさくら」を思わせる旋律で始まるミッドテンポの曲だが、纐纈さんに聞いたところによると「特に、意識せず作った」とのことだった。先日、新宿PIT INNでのまさまさch’an法師でも演奏したが、このメンバーでの演奏だとまた随分と曲の雰囲気が違っていた。
純日本的なメロディとジャズの間を行き来する演奏が、イマジネイティヴである。

第二部

1.笑う夜の遊園地~共存のブルース(かわいしのぶ)
どことなく不穏さ漂うメロディをバックに、かわいが朗読を聞かせる。夜のおとぎ話とでも表現したくなる、不思議な雰囲気を持った演奏である。

2.一滴の祈り(中島さち子)
リリシズムあふれる繊細なピアノとヴィブラフォンの対話で始まり、そこに感傷的なサックスが加わる。まるで晩夏の美しい夕暮れを見ているような音像に、遠い日の郷愁を掻き立てられる。胸が締め付けられるような、甘美な切なさである。
そこから展開する纐纈の熱いブロウと中島の静謐なプレイのコントラストも素晴らしいし、山田と中島のホット&クールなアンサンブルも刺激的だ。
ラストで聴かせる四人によるサイダーヂ感あふれるプレイに、胸が熱くなる。

3.Average(山田あずさ)
此処ではない何処か…というストレンジにエスニックな旋律をブロウするサックスに、他の三人が性急で饒舌なアンサンブルを重ねる。中毒性を有したユニークな音像が、面白い。
そこから、山田のよく歌うヴィブラフォンを軸にアグレッシヴな演奏を展開すると、ラストは無駄なくシェイプ・アップされたソリッドなグルーヴを聴かせた。

4.こだまでしょうか(詩:金子みすゞ、曲:纐纈雅代)
「NHKみんなのうた」みたいな、ファニーでキュートな出だし。男前にブロウする時とは対照的に、はにかんだ感じで歌う纐纈が可愛い。声を重ねる三人も何気に微笑ましい。
と、そこからいきなりトルネードのようなフリー・ジャズに突入。スピリチュアルな猛々しさにしびれる。
そこから、再びみんなのうた的展開に戻って終演。

Encore

NAADAM(林栄一)

アンコールは「不破さんへのオマージュ」ということで、渋さ知らズテッパンのレパートリー「ナーダム」。
ヴィブラフォンの美しいイントロから、サックスのホットなブロウ。そこから一気に畳みかけるスリリングな展開に息を飲む。
攻撃的なヴィブラフォン、パーカッシヴなピアノ、グルーヴするベースと聴かせて、ラストは四人による熱気あふれるプレイでこの日のステージを締めくくった。
いや~、本当に名曲だと思う。





アクシデント的に渋さ女子部が純粋に女子部ユニット緋牡丹になった訳だが、冒頭のジャンケンで始まる緩い展開から一転、ライブの方はビシッと凛々しく決めてくれた。
そのあたりのジャム・セッション的な雰囲気と、如何にもジャズ的な自由さ、そして女性ならではの華やかな柔らかさが絶妙にマッチした楽しい夜のひと時であった。
また、この四人での演奏を聴きたいものである。


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