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NAADA「宇宙で君と踊る」2016.7.9@東新宿 真昼の月・夜の太陽

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2016年7月9日、東新宿の真昼の月・夜の太陽でNAADAが出演するライブ・イベント「夜の太陽たち」を観た。
今年、NAADAがライブをやるのは2月7日の真昼の月・夜の太陽 以来二度目で、僕が彼らのライブを観るのはこれが44回目。




NAADA : RECO(vo)、MATSUBO(ag)、COARI(pf)


では、この日の感想を。

1.sunrise
繊細なギターのイントロに導かれて、静かな祈りの如く歌われるオーバーチュア的な楽曲。透明感のある音像、美しくセンチメンタルなピアノのフレーズ、洗練とスキルを感じさせる秀逸なコーラス・ワークに、彼らの技術的な研鑽を感じる。
もはや、プログレッシヴ・フォークとでも表現したくなる敬虔かつ静謐な演奏が素晴らしいが、安定感を欠いたPAがボーカルを歪ませてしまったのがもどかしい。

2. REBORN
ノベルゲーム・アプリ「時凪る部屋~凪編~」のエンディング・テーマに提供された曲。
前回のライブでも濃密な演奏を聴かせてくれた楽曲だが、この日の演奏は耽美的なフレンチ・プログレッシヴ・ロックを彷彿させるアヴァンギャルドでテクニカルなアレンジメントが耳を引く。
途中で、ジャパニーズ・ラップのようなボーカリゼイションを聴かせる展開も実に刺激的だ。
ポップス・ユニットを標榜しつつ、超難度な演奏をサラッとさりげなく聴かせてしまう一筋縄ではいかない音楽性こそ、彼らの真骨頂だろう。

3.puzzle
シンプルに聴かせる楽曲だが、とても三人による演奏とは思えない音の厚みと確信に満ちた演奏が頼もしい。その選び抜かれた音と緻密なアンサンブルが耳を捉えて離さない。
NAADAにしては珍しいシビアな詞を持った曲だが、この日の演奏にはシニカルの先に込められた確たる意思まで伝わってくる歌唱だった。

4. echo
唯一、RECOの歌とMATSUBOのギターだけで聴かせる曲。二人だけのピュアな演奏は、二人組の音楽ユニットとして活動していた彼らの原風景を感じさせるものだ。
個人的にはもう少しボーカルのエコーを抑制した音像が好みだが、抑制してストイックに歌う前半から、エモーションを解放するように高まっていく後半のコントラストも鮮烈で、大好きな曲である。

5.RAINBOW
アコースティックで繊細な曲の入りから、美しいハーモニーを印象的に聴かせる演奏。この曲のキャラクターとでもいうべき明るく爽やかなメロディ・ラインの骨格が、クリアーに伝わってくる。二番では演奏に厚みが増し、力強くポップな音楽性がライブ会場を包み込む。
曲のポジティヴさが聴く者の心に灯を点してくれるような、素敵な演奏である。

6.僕らの色
土着的でパーカッシヴなイントロで始まり、RECOの迷いなきボーカルがどこまでも真っ直ぐに伸びていく。そこにギターとピアノが加わってラウドに展開する後半は、パッと鮮やかに視界が広がるような音像。その圧倒的な音世界に息を飲んだ。
NAADA流アフロ・スピリチュアルなアレンジで演奏された楽曲には、徹頭徹尾彼らのオリジナリティが貫かれており、その大胆かつ冒険心に満ちた前向きな姿勢に今の彼らの充実ぶりが伝わってきた。


You Tube「NAADAchannel」 の登録件数や再生回数も着実に伸びており、NAADAのリスナーや知名度も上がっている中でのライブである。
彼らの周辺事情も変化しているだろうし、一体どんな演奏を披露するのか、それをどんなオーディエンスがどういう反応を示すのか…といろんな意味で一つの試金石と位置付けられるライブと言っていいだろう。
リスナーが増えていくということは、あらゆる種類の好意や歓迎すべからざる感情を一緒くたに引き受けることでもある。
それでも、一切ブレることなく攻めの姿勢を貫く彼らは、このところの活動の成果と言わんばかりに圧倒的な演奏を聴かせてくれた。これは、長年NAADAの演奏を聴き続けている僕にとっても、なかなかに感慨深い光景であった。

表現の幅、演奏の力強さ、歌の説得力、確信に満ちた世界観、守りに入らないチャレンジ精神と、現在彼らが目指している方向性と志が手に取るように分かる圧巻のパフォーマンスに、舌を巻くしかなかった。
質の高い、優れてオリジナルな音楽と対峙する喜びに満ちた、誠に濃密な30分間…それ以外に、一体どんな言葉が必要だというのだろう。
今後のさらなる飛躍を予感させるNAADA新章の序曲が高らかに鳴り響く会場に、一人の聴衆として立ち会えたという感慨すら抱いた。

次のライブは、8月27日の下北沢Lagunaで、11月5日には待望のワンマン・ライブも決定している。これからの彼らの活動から目が離せない。

 
一人でも多くの良心的な音楽ファンに、NAADAの音楽が届くことを願ってやまない。


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