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NAADA「虹の橋を架ける」2015.7.25@東新宿 真昼の月・夜の太陽

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2015年7月25日、東新宿の真昼の月・夜の太陽でNAADAが出演するライブ・イベント「虹の橋を架ける」を観た。
僕がNAADAのライブを観るのは、これが41回目。前回観たのは2015年6月21日、場所は浅草KURAWOODだった。
この日はNAADAにとって初めての編成で、コーラスにサルパラダイスのボーカル古沢優子を迎えての演奏であった。

NAADA : RECO(vo)、MATSUBO(ag) + 笹沢早織(keyb) + 古沢優子(chor)



では、この日の感想を。

1.Humming
「この編成なら、やはりこう来るだろう」という4声のア・カペラでの歌い出し。リハでかなり詰めて来たことがうかがえる厚みのあるコーラス・ワークが圧巻だ。個人的には、こういうアレンジの演奏をずっと聴いてみたかったので、思いが叶った。
ただ、客席で聴いているとエコーが深過ぎるように感じた。これだけしっかりしたコーラスなのだから、むしろPAからの出音はシンプルで簡素な方が僕には好ましいのだが。それが、残念だった。

2.PICNIC
軽快で、キュートで、ちょっとコミカルなテイストもある楽しい曲。何となく、アニメの主題歌やNHK「みんなのうた」をイメージしてしまう。この曲では、PAもすっきりした音でよかった。
どうでもいい話だが、僕が「みんなのうた」ですぐ思い出す曲は、堺正章「北風小僧の寒太郎」(1974)と大貫妙子「金のまきば」(2003)である。
この曲の後でRECOが簡単にメンバー紹介をしたのだが、彼女のMCが何だか保育園の先生みたいで可笑しかった。

3.puzzle
攻撃的に尖った歌詞を持った曲だから個人的にはシャープな音像で聴きたいのだが、1曲目同様にやや深いエコーで曲の輪郭をぼやけてしまったように思う。
シンプルに、ギターがザクザクと刻まれるようなスタイルで聴けたらなぁ…と思う。

4.fly
ストイックに選び抜かれた音で疾走するイントロにしっかりしたボトムとアグレッシヴさが共存するRECOのボーカルが乗る前半が、何ともスリリングだ。
ただ、間奏で聴かせた2声のコーラス部分は、圧倒的な声量のRECOに比して古沢の声がやや弱く感じた。もう少し、広がりが欲しい。
そこから後半の展開では、この曲ならではのダイナミックな飛翔感にまでは到達しなかったように思う。あと、少しなんだけど。

5.愛 希望、海に空
やや感傷的なフレーズを丁寧に奏でるピアノ、そこに被せられるのは相当にトリッキーなギターの音。正直、ギターであることを事前に知っていても、テープ演奏されたブルース・ハープのようなサウンドに聴こえてしまう。小箱のような装置でアコースティック・ギターの弦を擦ることにより音を出しているらしい。僕が思い出すのはビル・ネルソンのE-Bowプレイだが、ビルの場合はもちろんエレキ・ギターである。



この刺激に満ちたイントロ部分に続いて、RECOが静謐な歌声を響かせる。映像が浮かんで来るような、とてもスケールの大きな演奏が感動的だ。彼女の声に被せられるコーラスも効果的。
で、この曲の美しさを支えるのは音響派と表現したくなるような実験的アプローチである。そして、NAADAのメンバーが持っている本質的な音楽キャラクターというのは、実は極めて器楽的なものである。そのスタイルがもっとも露わになるのが、この曲だと思う。
前回の浅草KURAWOODでもその一端を聴くことができたが、この日の演奏はひとつの到達点と言っていいのではないか。
とにかく、この日のハイライトと断言できる素晴らしい演奏であった。

6.sunrise
一聴するとシンプルな小品のように思えるのだが、この曲で聴けるマツボのギターは結構難解ともいえるプレイである。とにかく、演奏のアクセントが微妙にずれる。
それがRECOの歌が始まると、そのずれて聴こえていた音がジャストになる。この曲の演奏を聴くのはこれで3回目だが、今回初めてその捻じれたユニークさに気づいた。

7.RAINBOW
演奏がスタートしてすぐに、音響トラブルが発生した。ギターが音割れしてちゃんと鳴らないのである。まるで、PAが接触不良を起こしているような感じである。不安定な音響がしばらく続いてしまい、演奏する側もなかなか集中しづらい環境であった。聴いている我々以上に、メンバーは不本意だっただろうと思う。
後半になってようやく音がちゃんと鳴り出したので、正直ホッとした。


この日の演奏は、この編成でNAADAが目指している音がとても明確だった。先ずはそれがとてもよかったし、目指す演奏を形にするため相当にシビアなリハーサルを重ねたであろうことも伝わって来た。その意味でも、実に意義深いライブだったと思う。
今回の編成はそうそう頻繁にできないだろうけれど、個人的にはもっともっと聴いてみたいアンサンブルである。
繰り返しになるが、この日の「愛 希望、海に空」の刺激的な演奏は、現時点でのNAADAの大きな成果だと思う。本当に、素晴らしいクオリティであった。

この日のライブは、次なる進化を予感させるに十分な内容だった。
これからのNAADAにどういう音楽的な飛躍が訪れるのか、とても楽しみである。

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