1980年12月21日公開、緒方明監督『東京白菜関K者』。
製作は大場恭司・秋田光彦、脚本は緒方明、撮影は石井聰亙、照明は手塚義治、録音は飯田譲治、製作はダイナマイトプロダクション。
出演は尾上克郎、保坂和志、室井滋、佐野和宏、長崎俊一、諏訪太郎、山本政志、山川直人、手塚真、近田春夫(特別出演)、日野繭子(特別出演)、他。
1980年/8mm/カラー/59分
本作は、緒方明の監督デビュー作であり、1981年の第4回ぴあフィルムフェスティバル入選作である。
僕は、東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された第38回PFF ぴあフィルムフェスティバル「映画はPUNKだ!」の企画上映「8ミリ・マッドネス!!~自主映画パンク時代~」の一本として鑑賞した。
並映は、園子温監督『俺は園子温だ!!』。
製作は大場恭司・秋田光彦、脚本は緒方明、撮影は石井聰亙、照明は手塚義治、録音は飯田譲治、製作はダイナマイトプロダクション。
出演は尾上克郎、保坂和志、室井滋、佐野和宏、長崎俊一、諏訪太郎、山本政志、山川直人、手塚真、近田春夫(特別出演)、日野繭子(特別出演)、他。
1980年/8mm/カラー/59分
本作は、緒方明の監督デビュー作であり、1981年の第4回ぴあフィルムフェスティバル入選作である。
僕は、東京国立近代美術館フィルムセンターで開催された第38回PFF ぴあフィルムフェスティバル「映画はPUNKだ!」の企画上映「8ミリ・マッドネス!!~自主映画パンク時代~」の一本として鑑賞した。
並映は、園子温監督『俺は園子温だ!!』。
ある朝起きたら白菜に変身していた男K(尾上克郎)。東京の街に出た彼は、その異様な容姿ゆえか様々な事件に巻き込まれ、おかしな人々に追い回される。
そして、最後は東京のはずれにある畑で、自ら深い穴を掘って埋まり、一介の白菜へと回帰するのだった…。
題材を見れば誰もがピンとくるように、本作はカフカの「変身」をベースにした作品と言えるが、文学性とか心理描写とか哲学性とかいったしちめんどくささは皆無で、ただひたすらに白菜男が東京のあちこちをひたすら爆走する映画である。
印象としては、バスター・キートンのスラップスティックなテイストを、80’sパンキッシュな無軌道さで料理した一発芸的反射神経作品といった感じである。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった石井聰亙監督の下で助監督をやっていた緒方が、石井監督から「お前も、一本撮れ」と言われて撮影したのが本作だそうである。
九州出身の緒方の感覚からすれば東京はあくまで異郷であり、そんな彼の心象があえて“東京”と冠したタイトルに込められている。
白菜男に扮している尾上克郎は、『シン・ゴジラ』の准監督・特技総括を担当した特撮技術者であり、緒方とは佐賀西高校の同級生。緒方監督曰く、「当時の尾上は、至って普通のヤツだった」とのことである。
ちなみに、白菜の被り物にはお金をかけたとのことで、ちゃんとした造形技術の人にラテックス素材の白菜を発注したそうである。
今の目で見ると、1980年当時の東京の風景(竹の子族、銀座の街並み、北の丸公園、国鉄、新宿駅の地下道)を異邦人の目で切り取った映像が懐かしい。
なお、撮影は届け出と内容は異なるにしてもゲリラ撮影ではないそうだ。
そして、最後は東京のはずれにある畑で、自ら深い穴を掘って埋まり、一介の白菜へと回帰するのだった…。
題材を見れば誰もがピンとくるように、本作はカフカの「変身」をベースにした作品と言えるが、文学性とか心理描写とか哲学性とかいったしちめんどくささは皆無で、ただひたすらに白菜男が東京のあちこちをひたすら爆走する映画である。
印象としては、バスター・キートンのスラップスティックなテイストを、80’sパンキッシュな無軌道さで料理した一発芸的反射神経作品といった感じである。
当時、飛ぶ鳥を落とす勢いだった石井聰亙監督の下で助監督をやっていた緒方が、石井監督から「お前も、一本撮れ」と言われて撮影したのが本作だそうである。
九州出身の緒方の感覚からすれば東京はあくまで異郷であり、そんな彼の心象があえて“東京”と冠したタイトルに込められている。
白菜男に扮している尾上克郎は、『シン・ゴジラ』の准監督・特技総括を担当した特撮技術者であり、緒方とは佐賀西高校の同級生。緒方監督曰く、「当時の尾上は、至って普通のヤツだった」とのことである。
ちなみに、白菜の被り物にはお金をかけたとのことで、ちゃんとした造形技術の人にラテックス素材の白菜を発注したそうである。
今の目で見ると、1980年当時の東京の風景(竹の子族、銀座の街並み、北の丸公園、国鉄、新宿駅の地下道)を異邦人の目で切り取った映像が懐かしい。
なお、撮影は届け出と内容は異なるにしてもゲリラ撮影ではないそうだ。
魔女のようなメイクで奇天烈な演技を披露する室井滋や、ピンク四天王の一人である若き日の佐野和宏の姿もなかなかに興味深いが、個人的には何といっても当時のピンク映画を代表する人気女優の日野繭子である。
人生に悩んだ白菜男が公衆電話をかけるラジオ番組の電話相談室でアシスタント役をやっているのが彼女で、相談を受ける先生は何と近田春夫。で、なぜかこの二人は白菜男の相談そっちのけで乱闘を始めてしまう。
ちなみに、日野さんはBOΦWYの氷室京介がまだ暴威の氷室狂介と名乗っていた時に主演にした諸沢利彦監督の8mm自主映画『裸の24時間』(1984)で氷室の恋人役を演じたのが女優としての最後の仕事だそうである。
ただ、そのフィルムは損傷がひどくて上映不可能とのことだ。残念である。
本作上映後に緒方監督によるトークショーがあったのだが、緒方監督はひたすら恐縮してる感じであった。
僕は、この作品に近田さんと日野さんが出演した経緯を質問したかったんだけど、結局聞けずじまいだった。
いずれにしても、映画作りに対する原初的な情熱とアナーキーさが炸裂した、正しく自主映画的でパンキッシュな作品である。