2016年10月21日、西荻窪アケタの店で纐纈雅代、原田依幸、石渡明廣のライブを観た。このメンバーで演奏するのは、8月19日以来である。
僕は、たまたま先月に原田さんのソロ・デビュー作『Miu』(1981)を買っており、愛聴しているところだった。彼が参加した集団疎開1976年のライブ盤『その前夜』も持っている。
纐纈雅代(as)、原田依幸(pf)、石渡明廣(eg)
では、この日の感想を。演奏は、すべてインプロヴィゼーションである。
第一部
1.静寂による対話、とでもいうべき三者による張りつめた音出し。深遠な音像が会場を包む。ひっそりと息づく誰も知らない秘密の森に響くような音は、まさしく幽玄の世界である。
緊張と不穏、抽象的な自由。
それぞれが自らの音を高めていき、静寂は暴力的に歪んだ緊迫感へと変貌する。ヒプノティックなピアノ、知的でコールドなギター、法竹を思わせるサックス。テンションみなぎるアブストラクトで極北的な音。
コンストラクトとディスコンストラクトを繰り返すラウドなサウンドは、まさにBreak on through to the other sideである。フリーキーにスウィングしていく様は、本当にエキサイティング極まりない。
原田と石渡の出す音に聞き耳を立てる纐纈の表情が、とても印象的。ひとつのジャズ的宇宙である。(40分)
2. 熱いブロウ・アップを聴かせるサックス、ワウワウをかけたスペイシーなギターのスケール、スピリチュアルでパーカッシヴなピアノ。簡潔にして刺激的な演奏。(5分)
第二部
3. ハンマーを打ち下ろすようなピアノ、性急なアルペジオを奏でるギター、地面から上昇していくようなサックス。そして、サウンドはアグレッシヴに発火する。
ハードでフリーキーなプレイの応酬から一転して静寂が訪れ、ハッとするようなバラードにチェンジする展開は息を飲む美しさだ。(20分)
4. 太い音で吹き始めるサックス、クールとホットを行き来するワウワウ・ギター、いかにも纐纈らしい男前なフリー・ブロウに絶妙な音を合わせるギターとピアノ。
一音、一音に強靭な説得力があるピアノ。終始、ダンディズムを貫くギター。ドメスティックなフリー・ブルースを歌うサックス。(7分)
三人のミュージシャンが即興演奏の中で互いの個性をぶつけ合い、その化学反応によって生み出されていくサウンド。まさに真剣勝負的で濃密なライブであった。
どこかとぼけた感じの原田さん、終始クールな石渡さんとマイペースな二人に挟まれて、一曲終わるごとに演奏時間を気にする纐纈さんのたたずまいが何となく微笑ましかった。
第二部が終わった後、「今、何時なんだろ?アンコールは、どうするんですか?」みたいな感じになった末に、纐纈さんが「え~と、何かもう演らなそうなんで、これで終わります。ありがとうございました…」的にMCして終演したのだった(笑)
皆さん、お疲れ様でした。
どこかとぼけた感じの原田さん、終始クールな石渡さんとマイペースな二人に挟まれて、一曲終わるごとに演奏時間を気にする纐纈さんのたたずまいが何となく微笑ましかった。
第二部が終わった後、「今、何時なんだろ?アンコールは、どうするんですか?」みたいな感じになった末に、纐纈さんが「え~と、何かもう演らなそうなんで、これで終わります。ありがとうございました…」的にMCして終演したのだった(笑)
皆さん、お疲れ様でした。