7月24日、秋葉原CLUB GOODMANにてTRANSPARENTZの初ライブを観た。イベント名は「HOWLING!」で、対バンはKIRIHITOと久土’N’茶谷。
TRANSPARENTZのメンバーは、山本精一(g)、日野繭子(noise)、HIKO(ds)、isshee(b)。
山本はBOREDOMS、思い出波止場(RUINS波止場含む)、羅針盤、PhewとのMOST、ROVOといった多彩な活動をしていて、僕はスペース・トランス・バンドのROVOがかなり好きである。
2000年5月28日に吉祥寺STAR PINE’S CAFEで行われたスラップ・ハッピーの来日公演で、Phewと共にオープニング・アクトを務めた彼のライブを僕は観ている。
日野繭子は、言わずと知れたピンク映画の元スター女優にして、ノイズ・ミュージシャン。C.C.C.Cでの活動後、現在はDFH-M3という女性ノイズ・ユニットで活動している。
HIKOは、かのハードコア・パンク・バンドGAUZEのメンバー、issheeはBar isshee(渋谷の店はビル取り壊しのため閉店。現在、新店舗探し中)の店長である。
個人的には、音楽的引き出しが無尽蔵の山本精一がどういうノイズを構築するのかに興味を抱いた。
演奏時間は、ほぼ60分一本勝負的なノイズの洪水。音楽的ギミックはほぼ皆無で、思いの外ストレートなフォー・ピースの演奏が展開された。
ステージに向かってセンターに日野繭子、右に山本精一、左がisshee、奥がHIKOという位置での演奏。日野は大きなアクションを伴ってノイズマシンを演奏し、山本とissheeはときおりスクリーミングを伴いつつ淡々と演奏。HIKOは激しく手数の多いドラムで、汗を振り撒きながらの熱演だった。
音的には、日野の繰り出すノイズとHIKOのトライバルなドラムスがメインで、演奏の前半は音の塊をダイレクトにぶつけて来るような印象だった。前半30分の体感時間はあっという間で、肉体的カタルシスを伴う爽快な演奏。
ただ、フロアで聴いていると音の分離が悪く団子状で、(僕の耳が大音響でヤラれているとはいえ)ギターとベースの音がほとんど聞き分けられなかった。ノイズに音の分離を要求する方が野暮だ…という考え方もあるだろうが、ある意味異種格闘技的な面子が「ノイズ」というベクトルで集まった訳だから、新しいノイズのPA的方法論の提示を僕は期待したのだ。
これが初のお披露目でありオーソドックスな展開も悪くないが、このバンドに次の展開があることを期待したいところである。
個人的な不満は、実は後半にあった。45分過ぎくらいから、演奏はラストに向けてシフト・チェンジしたと思うのだが、そこからの演奏展開がいささか引っ張り過ぎのように感じた。僕の好みを言えばシャープにエンディングへとなだれ込むのが理想で、スピーディにメンバーが一人ずつステージ袖にハケて行ってくれると良かったのだが。
そして、メンバーが一度ハケてからもう一度ステージに戻ってアンプの音を切るというのが余計かなと思った。呆気ないくらいに終幕する方がクール…ということだ。
ステージングとしては、一輪の花である日野繭子の存在が凛々しくてとても印象的だった。