Quantcast
Channel: What's Entertainment ?
Viewing all articles
Browse latest Browse all 230

My Favorite Reissured CD Award 2019

$
0
0

毎年、細々と続けている再発CDアワードということで、去年一年間のCD再発市場を振り返ってみたい。

 

すっかり配信がメインとなってしまった音楽メディアにおいて、いまだパッケージ商品のCDを買い求めているのはもはや酔狂という気さえする。マニアやファッションという意味では、アナログ盤の方がこだわりを感じるし。

例によって再発事情は名盤の何十周年を記念したスーパー・デラックス・エディションや過去の作品すべてをBOX化した廉価盤が多かったが、驚きの発掘録音や音質が数段アップしたリマスター再発もあったのが嬉しい。

 

そんな2019年の再発シーンにおいて、僕が個人的にうれしかったものを順不動で挙げておく。

 

○ 大滝詠一NIAGARA CONCERT'83

毎年、3月21日に某かの再発があるNIAGARAだが、去年は1983年に大滝詠一が出演した「ALL NIGHT NIPPON SUPER FES.」の蔵出しライブ盤だった。当時、ニッポン放送の「オールナイト・ニッポン」絡みの音楽フェスが毎年西武球場で行われており、1983年のトリはサザンオールスターズが務めた。

大滝詠一名義では、このイベントが最後のライブ出演。当時、ストリングスに関心が強かった大滝が、亀渕昭信からの熱烈なオファーにこたえる形で実現したもの。井上鑑アレンジのオーケストレーションをバックにクルーナー・ボイスで歌い上げるライブは、ロックやポップスと言うよりもはやジャッキー・グリースンのようにドリーミーなイージー・リスニングの音像である。

初回限定盤は2CD+1DVDで、過去のコンサート・アーカイヴCDと1977年6月20日渋谷公会堂でのファースト・ナイアガラ・ツアー映像が楽しめる。

なお、これは余談だけど僕はRCサクセションがトリだった1984年の「ALL NIGHT NIPPON SUPER FES.」を見ている。

 

○ FRANK ZAPPAZAPPA IN NEW YORK 40TH ANNIVERSARY

次から次へと蔵出しリリースを続けるザッパ・ファミリー・トラストのザッパ・レコーズ。去年は、この作品以外にも『ORCHESTRAL FAVORITES 40TH ANNIVERSARY』『THE HOT RATS SESSIONS』『HALLOWEEN 73』がリリースされた。

この『ザッパ“雷舞”イン・ニューヨーク』40周年盤は、N.Y.パラディウムでの4公演を全て収録した完全版で、当時のチケットを再現したレプリカにN.Y.のマンホールを模したTIN BOX仕様。エディ・ジョブソンやブレッカー・ブラザーズも参加したこの公演は、非常にクオリティの高い演奏が存分に堪能できる。

 

○ 近田春夫&ビブラストーンVIBRA IS BACK

個人的には、日本語のラップ&ヒップホップの原点にして最高峰がこの作品。1989年の渋谷クワトロとインクスティック六本木でのライブをDATで一発録りして同年にソリッド・レコードからCDのみでリリースしたライブ盤。

オリジナル盤は録音レベルと音圧に問題があったが、30年ぶりに待望のリマスター再発がされた。ファンキーでカッコいいインストの「VIBRA IS BACK」や、語尾に「さー!」を付けることで韻を踏む改正風営法を皮肉った「HOO!EI!HO!」等、名曲ぞろいだ。

 

○ AREA / ARBEIT MACHT FREI

イタリアン・プログレを代表するバンドであるアレア。デメトリオ・ストラトスの強烈なボーカルとエキゾティックでアグレッシヴな演奏を聴かせる唯一無二のバンドのファースト・アルバム『自由への叫び』。Crampsの他の盤も併せて、ソニーミュージックが紙ジャケ&Blu-spec CD2により2019年リマスターで再発した。これまで、何度となく再発されている盤だが、CDとしては今回が断トツに音がいい

迷わず、買い替えをおすすめしたい逸品である。

 

○ ARTI E MESTIERI / TILT(IMMAGINI PER UN ORECCHIO)

アレアの再発と同シリーズで出されたアルティ・エ・メスティエリのファースト・アルバム。彼らも、イタリアCrampsレーベルを代表するテクニカル・プログレバンドで、ザ・トリップのメンバーだったフリオ・キリコによる手数の多い超絶技巧ドラミングとトリッキーな楽曲が特徴。

このバンドも何度となくCDが再発されているが、今回のリマスターはアレアの再発同様格段に音質がアップしているので、買い直し必至である。もちろん、Crampsの他の盤も再発されている。

 

 NUCLEUS & IAN CARR / TORRID ZONE THE VERTIGO RECORDINGS 1970-1975

ドン・リンデル=イアン・カー・クインテットで硬派なブリティッシュ・ジャズを演奏していたイアン・カーが、ジャズ・ロックにシフトしたのがニュークリアス。ヴァーティゴ・レーベルから発表された彼らの作品は、プログレッシヴな音像か、徐々にクロスオーヴァーな方向に変化していくが、どの作品も知的で良質な音の宝庫だ。

このボックスは、9枚のアルバムを6枚のCDにまとめて、リマスターを施したもの。紙ジャケットはいささかしょぼい作りだが、値段もリーズナブルだしブリティッシュ・ロック好きにはマストだろう。

 

 ANA MAZZOTTI

ブラジルの歌手、アナ・マゾッチが1977年に発表したアルバムの世界初CD化。彼女と言えば、アジムスのメンバー3人がバックを務めた『NINGUEM VAI ME SEGRAR』(1974)がレア・グルーヴのファンには人気で、そちらは以前日本でCD化されていた。

本作は、新録が1曲で、それ以外は1974年の音源にオーバーダブを施したもの。バッキングには、アジムスから2人が参加している。今回のリイシューでは『NINGUEM VAI ME SEGRAR』もリリースされているので、2枚ともゲットすることをお勧めしておく。

 

 AZYMUTH / DEMOS(1973-75) VOLUMES 1&2

そのアジムスが、1975年のデビュー・アルバム以前に録音していたデモ・テープ音源を発掘したのが本作。当時は、実験的でサイケデリックな音が理解されずにお蔵入りされたらしい。

確かに、デビュー以降に聴かれる爽やかでメロウなエレピのブラジリアン・グルーヴではないものの、オリジナリティあふれる先鋭的で新しいブラジリアン・クロスオーヴァーな作風は、今こそ再評価されるべきである。

 

○ CHRIS REA / ON THE BEACH

言わずと知れた1986年の大ヒット・アルバム。タイトル曲の「オン・ザ・ビーチ」は、日本でCMにも使われた。

発売以来アルバム単位ではリマスターされてこなかったが、ここに来て他のアルバム共々2枚組デラックス・エディションとしてリマスター再発された。2枚目にはシングルB面やアウトテイク、ライブなどが収録されている。

アルバムのタイトルやジャケットの印象とは異なり、全くリゾート感のないいぶし銀の渋い内容だが、良質な大人のロックがこのアルバムには詰まっている。

 

○ JAMES BROWN / LIVE AT HOME WITH BAD SELF

JBも発掘音源の多い人だが、このライブ盤を待っていた人はたくさんいるのではないか。彼の代名詞的な大ヒット曲「セックス・マシーン」を収録した2枚組アルバム『SEX MACHINE』はスタジオ音源に歓声をダビングした疑似ライブも収録されているが、オーガスタでのエキサイティングなライブ演奏も一部聴くことができる。

そして、本作はそのオーガスタでのライブの完全版を収録したものである。1969年という最も勢いのある時期のJBライブを体験できる願ってもない発掘音源である。

 

 LINVAL THOMPSON & THE REVORUTIONARIES / REGREA LOVE DUB・OUTLAW DUB

これも、個人的には待望久しかった再発。LINVAL THOMPSON『LOVE MARIJUANA』(1978)をダブにした『REGREA LOVE DUB』は、彼の初ダブ・アルバムにしてCHANNEL ONEでレボリューショナリーズをバックに録音したもの。

THE REVORUTIONARIES『OUTLAW DUB』は、リンヴァル・トンプソンがプロデュースした彼らを代表するダブ・アルバムの傑作

それが、2in1CDで聴けてしまうのだからありがたい。

 

 RUPHUS / LET YOUR LIGHT SHINE

ノルウェーを代表するプログレッシブ・ロック・バンドであるルーファスの傑作サード・アルバム。同時に、ファーストとセカンドもリマスター再発された。

ノイやクラウス・シュルツェ、クラスター等でお馴染みの旧西ドイツBRAINレーベルから発売された本作は、スペイシーでハイブリッドなジャズ・ロックが聴ける名盤。ノルウェーを代表するジャズ・ギタリストのテリエ・リピタルがプロデュースしているのもポイントが高い。

 

2020年再発で僕が期待しているのは、去年同様¥ENレーベルのインテリア『インテリア』やテストパターン『アプレ・ミディ』、生活向上委員会大管弦楽団『This is Music is This!?』『ダンス・ダンス・ダンス』、プリンスの諸作といったところである。


Viewing all articles
Browse latest Browse all 230

Trending Articles