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大九明子『私をくいとめて』

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『私をくいとめて』


監督・脚本:大九明子/原作:綿矢りさ/撮影:中村夏葉/照明:常谷吉男/録音:小宮元/美術:作原文子/助監督:成瀬朋一
制作:RIKIプロジェクト/配給:日活
公開:2020年12月18日


本作は、『勝手にふるえてろ』(2017)と同じく綿矢りさの原作
前半はややもたついていて「こりゃ、『勝手にふるえてろ』の方が面白かったかな」と思うんだけど、のんが大学時代の親友に会うためローマに行くくだりから俄然疾走感がでてきてスクリーンを映画マジックが覆い尽くす。

一人称複数とでもいうべきのんの演技が素晴らしく、見入ってしまった。ある意味、ほとんど一人芝居のような感じなのだ。親友が橋本愛で、「ジェジェジェ」という科白が出てくるところも実に気が利いている。
改めて思ったのは、のんは27歳の現在でも実に少年的な外見で女性としてのセックス・アピールをほとんど感じないこと。しかも、「あまちゃん」の時からまるでタイムラグを感じさせないルックスというのも、アップになった時に年輪を感じさせる橋本愛とは対照的だ。

劇場内に大音量で響く大滝詠一「君は天然色」のカラフルな開放感も、実に効果的だ。


それにしても、大九監督はのんといい松岡茉優といい黒木華といい女優をファンキーで魅力的に撮ることに長けた人だとつくづく思う。


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