小野島大さんも言及されていたけど、僕も散開までの記述に物足りなさを感じてしまった。マイケル・ジャクソン「BEHIND THE MASK」の件は、ずっと不思議に思っていたからなるほどと納得したけど、個人的にはメンバーのロング・インタビュー「OMOYDE」ほどの衝撃はなかった。
僕は、高校一年の時に『公的抑圧』を聴いてショックを受けて、『増殖』はレコード店に予約して買った世代。二回目のワールドツアー「FROM TOKIO TO TOKYO」も日本武道館に見に行った。富士カセットの懸賞で、高橋ユキヒロがデザインしたYMO紙シャツももらったなぁ。
ロンドン・ニューウェーブとかをまだ聴く前だったこともあって、他のファン同様『BGM』のまったくポップじゃない重く陰鬱なサウンドや「U・T」の奇妙なユーモアに凄く戸惑った。ただ、『BGM』を経過しての『TECHNODELIC』にはどこか前向きな抽象性があって割とすんなり入れた。
むしろ、散開頃のドラムがシモンズだったことに違和感を覚えた。シンドラムと比較して、どこか音が軽くて安っぽく感じたからだ。そういえば、「ALL TOGETHER NOW」ではっぴいえんどが再結成ライブをやった時、松本隆が叩いていたのもシモンズだった。松本隆は、ドラムを叩くのが久しぶり過ぎてどこのスティック買えばいいのか分からないからC-C-Bの笠浩二に聞いたと言ってたっけ(笑)シモンズと言えばC-C-Bだよね、やっぱり。
僕の記憶だと、イエロー・マジック・オーケストラって、当時「コンピューターに演奏させるなんて、音楽として邪道だ」みたいな批判も結構されていたし、シンセサイザーに対する拒否反応もあったはず。
『BGM』がリリースされた時、細野さんは「次にどんなアルバムを出しても絶対に売れるなんていう状況は一生に一度しかないから、やりたいことをやった」と言ってたし、教授は「100万売れてもちゃんと届いてるのは30万くらいだから、『BGM』でふるいにかけた」みたいなことを言ってた。「千のナイフ」が入っているのは、細野さんが教授に「千のナイフ」みたいな曲をとオーダーしたけど、できなかったからカバーになったと発言していたように思う。
僕は、YMOからビートルズ、クラフトワーク、DEVO、はっぴいえんど、キャラメルママ、サディスティック・ミカ・バンド、スネークマンショー、ブライアン・イーノ、PASSレコード、TGみたいに掘りさげていったなぁ。
CANにたどり着いたのも、スネークマンショーのファースト・アルバム『急いで口で吸え』にホルガー・シューカイの「ペルシアン・ラブ」が入っていたからだし。
そういえば、忌野清志郎と坂本龍一が「い・け・な・いルージュ・マジック」をリリースした時、RCサクセションの一部シンパから、清志郎が裏切者みたいな批判をされていたっけな。