Quantcast
Channel: What's Entertainment ?
Viewing all articles
Browse latest Browse all 230

大貫妙子『Pure Acoustic 2009』@JCB HALL

$
0
0

2009年11月1日、水道橋のJCB HALLに大貫妙子『Pure Acoustic 2009』を観に行った。


What's Entertainment ? What's Entertainment ?

JCB HALL(現TOKYO DOME CITY HALL)に行くのは初めてで、水道橋にこのようなホールができていること自体全く知らなかった。ホーム・ページを見てみると、コンサートからプロレスの興行まで行う多目的施設のようであり、そのような会場で「ピュア・アコースティック」の繊細な世界をきちんと構築できるのか…会場に着くまで不安であった。
会場に着いてみるとアリーナ席(僕は、8列46番で、ステージから見て、ほぼ中央であった。)は、フラットなフロアに折りたたみ式の椅子が並べられていた。アリーナなのだから当たり前だけれど、いくらステージが高い所にあっても、前の席に座高の高い人が座ったら目も当てられない。しかも、演奏が始まってみるとPAが今ひとつアコースティックのガラス細工のような音世界をフォローできていなかった。僕は中央付近に座っていたから、それでも音に納得がいったけれど、端に座っている人にはどう聴こえたのか心配である。

さて、今回のPure Acousticコンサートは、ター坊にとっても長年のファンである僕たちにとっても、二つの意味で特別なものであった。何故なら、22年間にわたってコンスタントに行われて来たこのライブ・シリーズが今回の公演をもって、ファイナルとなってしまうからである。その理由は、第一ヴァイオリンの金子飛鳥が渡米することにより、ASKAストリングスが解散することになったからである。7年間Pure Acousticコンサートを支えてきたこのメンバーが解散することは、ター坊にとってみれば自分のバンドが発展的に解消することと同じ思いであろう。
もう一つの特別なことは、今回初めてPure Acousticの会場に撮影クルーが入ったことである。ター坊は今まで一切このライブ企画を映像に残していなかったのだが、ファイナルを迎えるということで、是非とも今回のライブをカメラで記録したいとの熱烈なオファーがあり、彼女もそれを承諾したのである。この日収録されたライブ映像は、2010年2月17日にDVDとして発売が予定されている。


What's Entertainment ?


前置きが長くなったが、今回のライブの模様をレポートしていきたい。

午後6時の開演時間を少し回ったところで、客電が暗くなり、フェビアン・レザ・パネ(pf)、吉野弘志(b)、林立夫(ds)、小倉博和(g)がステージに登場。一通り音出しが終わった頃合いを見計らって、ター坊が登場。この日の彼女は、黒を基調にしたフォーマルな衣装を身にまとっている。1曲目は、『プリッシマ』からの「Monochrome & Colours」。いつもの彼女のステージは、演奏開始からしばらくは声や身のこなしに硬さが目立つのだか、今回はファイナルということで、彼女自身深い思いがあるのだろう、実に堂々たる歌唱が披露された。声に張りがあって、しかも透き通るような美しさに溢れている。会場の空気は、一瞬にしてター坊の世界観一色に染まった。それは、ちょっとした奇跡のようであり、僕にとっては嬉しい衝撃であった。2曲目はパネのピアノだけをバックに、お馴染の「若き日の望楼」をしっとり聴かせてくれた。

What's Entertainment ?

今回のライブはDVD用にカメラが入っているからということと、ファイナルであるということから、大貫スタンダードの名曲の数々が、いつもより多く披露された。3曲目からは、再び四人をバックに演奏が進んでいった。アメリカの「9.11」へのレクイエムとして作ったというター坊のMCがあった「snow」、いつ聴いても素晴らしい「新しいシャツ」など、充実した演奏と歌唱が続いていく。7曲目はフェビアン・レザ・パネのオリジナル「遥かなる旅路」を彼のピアノで聴かせ、その間にター坊は一度ステージ袖に下がった。

パネさんのソロ演奏が終了すると、黒のドレスに着替えたター坊がASKAストリングスを従えて、再びステージに登場。金子飛鳥(1st vln)、相磯優子(2nd vln)、志賀惠子(vla)、木村隆哉(cello)の四人であり、このメンバーの演奏で、2007年に素敵な作品集『Boucles d'oreilles』が発表されている。


What's Entertainment ?

フルメンバーを迎えて、コンサートは後半へ。「夏に恋する女たち」「彼と彼女のソネット」「黒のクレール」と、まさにファイナルにふさわしい曲が続く。ター坊の声は、透明感と存在感が抜群のバランスで、聴く者を魅了する。次々に歌われていく、彼女の美しい作品たち。僕らは声もなく、ただ、彼女の音楽に身を委ねて聴き惚れるのみである。


What's Entertainment ?

彼女のファンならだれもが知っている、「ター坊がお米を作っている」ネタのMCの後に聴かせるのは「四季」。気の効いた選曲だと思う。そして、今回のコンサートの白眉だったと僕が思う「横顔」「風の道」。ASKAストリングスとの息の合った演奏が、実にいい感じである。うっとりする。
「今日は、沢山曲を用意したのに、もう最後の曲です」というMCで歌われたのが、とてもキュートで軽やかな「ベジタブル」。本当に彼女のファンでいて良かったと思う。

一度メンバー全員がステージを降りるも、アンコールを求めるオーディエンスの拍手は鳴りやまず。しばらく拍手が続いた後に、ター坊がフェビアン・レザ・パネ、吉野弘志、林立夫、小倉博和と共にステージへ。恒例のお客さんからのプレゼントを受け取った後、「あの曲、まだ演奏していないな…と思っているでしょう」という彼女のおちゃめなMCに続いて、お約束の「突然の贈りもの」が歌われた。そして、ター坊にしては長かったこの日の演奏の最後を飾ったのは、「懐かしい未来」

鳴りやまぬ拍手の中、もう一度ASKAストリングスのメンバーもステージに姿を見せて、九人全員が拍手に応えながらステージを後にした。本当に至福の2時間10分であった。


What's Entertainment ?
ター坊は、このPure Acousticシリーズでの演奏はひとまず終了するけれど、これからは色々な編成でライブをやっていきたいとコメントしていた。その言葉を信じて、彼女の次のステージを待ちたいと思う。

2009.11.1(SUN)大貫妙子 Pure Acoustic 2009 @JCB HALL set list
1.Monochrome & Colours(from『PURISSIMA』1988)
2.若き日の望楼(from『romantique』1980)
3.Hiver(from『One Fine Day』2005)
4.snow(from『note』2002)
5.新しいシャツ(from『romantique』1980)
6.あなたを思うと(from『note』2002)
7.遥かなる旅路(Febian Reza Pane piano solo)
8.夏に恋する女たち(from『SIGNIFIE』1983)
9.彼と彼女のソネット(from『A Slice of Life』1987)
10.黒のクレール(from『cliché』1982)
11.空へ(from『LUCY』1997)
12.TANGO(from『LUCY』1997)
13.春の手紙(from『Shooting star in the blue sky』199.)
14.四季(from『aTTRaCTiOn』1999)
15.横顔(from『Mignonne』1978)
16.風の道(from『cliché』1982)
17.Time To Go(from『One Fine Day』2005)
18.Cavaliere Servente(from『PURISSIMA』1988)
19.ベジタブル(from『copine.』1985)
-encore-
20.突然の贈りもの(from『Mignonne』1978)
21.懐かしい未来-longing future-(from『palette』2009)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 230

Trending Articles