5月14日、恵比寿天窓.switchでNAADAが出演するライヴを観た。
僕がNAADAのライヴを観るのは、これが30回目。前回観たのは3月15日
、場所は新宿SACT!であった。
この会場はNAADAにとって初めての場所である。
では、この日の感想を。
1.おやすみBaby
新曲。1曲目だからか、演奏云々よりもライブハウスの空間と音響とが若干馴染んでいないように感じた。
音像に中途半端な靄がかかったような浮遊感があった。
2.Good morning
1曲目同様、音のパースペクティヴに違和感がある。何やら、ギターが天井から聞こえて来るような印象で落ち着かない。
そして、肝心の音像は不自然なくらいにクリアーに聴こえるのだが、何故か立体感には乏しい。歌も演奏も悪い訳じゃないのだが、バランスがしっくりこないのだ。
3.RAINBOW
決して悪いライブハウスじゃないのだが、この日のPAとNAADAの音楽性は上手く噛み合っていなかったのじゃないだろうか?
二人編成におけるNAADAの魅力の一つは、オーディエンスのイマジネーションをかき立てるような音楽的行間を持たせた演奏にあると僕は思う。然るに、この日の音像にはそういう余白がとても少ないように感じた。
RECOの声はよく出ているし、音圧にも問題はないのだが、トータルとして音に奥行きがなくフラットなのだ。あと、マツボの奏でるギターにいつもの繊細な表現力が不足しているような気がした。
4.Little Fish
フレンチポップ的でキュートな小品。エフェクターによりギターをループさせた音を交えた演奏を聴かせた。演奏はいいが、曲のキャラクターに比して音の押し出しが強すぎるのではないか。
5. echo
ギターのイントロから、歌い出しのヴォーカル・エコーのかけ方、そしてRECOの声にハッとさせられる。素敵な出だしである。
ただ、途中ギター・プレイが不安定に感じた個所がある。そして、出音のラウドさが曲の良さを相殺してしまう怨めしさがあった。
ラストの静寂な歌は、出色の表現力である。
6. fly
比較的抑え気味のギター・ストロークと歌で入る。全体的にギターのサウンドがジャラついて聴こえた。
僕の好みを言わせて頂ければ、この曲の魅力はスケールの大きさとタイトル通りの飛翔するような奥行きある空間性なのだけど、ここでも音像が平板に感じてしまった。
一番高い音になった時のRECOのボーカルは、とても抜けが良く胸に響いた。
7.愛 希望、海に空
歌い出しの短いフレーズがノン・エコーに聴こえて、簡素に過ぎる印象。ただ、その後は効果的にエコーがかかり、ギターの音色もカラフルさが出ていた。それでも、何故か音楽に身を任せる…というところまで行かない。何故なのだろう?
後半に入って、ギターの音がベシャついた印象を受けた。RECOとマツボのハーモニーの相性は、この日も抜群だった。
8.淡香色の夏空へ
個人的には、この日のベスト・パフォーマンス。ギターの音色、ボーカル、バランスと音像に一体感があって、音のトータリティがしっかり感じられた。RECOの歌も、とてもナチュラルでこの曲の良さがしっかり伝わった。
繰り返しになってしまうのだが、この日の演奏は40分間ずっと音作りが手さぐり状態だったように感じた。そして、スピーカーからアウトプットされる音像が、平板な印象を拭えないままであった。
その意味では、僕の持っているNAADAの良さがなかなか伝わりづらいライヴだったように思う。残念である。
ただ、楽曲のクオリティは今さら言うまでもなく素晴らしいし、それは新曲にも言えることだ。
逆に言えば、彼らの音楽性を受け止めるアウトプットを会場ができるかどうか…の部分に左右されることが、ライヴでは最大の問題である。
何度か書いたことがあるけれど、僕の理想はある程度の広さがある会場でのワンマンである。本当に観たい。
その意味では、今NAADAが出演している会場でベストなのは南青山の月見ル君想フだと思う。
さて、次のNAADAライヴは、6月7日(金)の東新宿 真昼の月・夜の太陽で、編成は二人のみ。これまでとは違った冒険を試みるようなので、とても楽しみである。
その後、しばらく彼らはライヴ以外の活動に専念するらしいから、興味のある方は見逃し厳禁である。