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細野晴臣「Boogie Woogie Holiday」@日比谷公会堂2015.9.19

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2015年9月19日、日比谷公会堂で細野晴臣ソロ・コンサート「Boogie Woogie Holiday」を観た。
日比谷公会堂はとても味わいある建物で、僕は1989年7月23日にここでELVIS COSTELLO SOLO SHOWを観ている。その時のコステロは、サポート・メンバーなしの正真正銘ソロ演奏を披露した。まあ、小道具としてフラワーロックが踊っていたけど。




細野晴臣(vo,g)、高田漣(g)、伊賀航(b)、伊東大地(ds)、野村卓史(keyb)ゲスト:斎藤圭土(p)

定刻の6時を少し過ぎると、如何にも昭和の劇場然としたノスタルジックなステージに細野さん以下、メンバーが登場。
先ずは、『HoSoNoVa』収録の「バナナ追分」から。続いては、フレディ・フェンダーの「マチルダ」とオリジナルはデイル・ホーキンスでロック好きにはC.C.R.のバージョンが有名な「スージー・Q」をブギウギというよりも郷愁を誘うカントリー・テイストなアレンジで。高田さんは曲によってエレキ・ギターとスチール・ギターを野村さんはキーボードとアコーディオンを使い分ける。伊賀さんはウッド・ベース。細野さんは、アコースティック・ギターを奏でながら味わいある歌を聴かせる。
相変わらずのとぼけたMCは、「“俺”って言うことにします。俺って、ワルだろう」とか言って話し出したんだけど、途中で飽きちゃったらしく“僕”に戻してた(笑)

このコンサートを思い立った時、細野さんの中ではブギウギな気分だったそうだけど、先月の松本隆「風街レジエンド 2015」に参加したら、気分が歌謡曲に変化したそうだ。
そんな訳で、裕木奈江のアルバム『旬』(1993)のために提供した「いたずらがき」と森進一のシングル「紐育物語」(1983)のB面「ルーム・キー」をテックス・メックス風のリラックスしたアレンジで。ちなみに、「紐育物語」も細野さんの曲で、その前にリリースされた森進一のシングルは大滝詠一のペンになる大ヒット曲「冬のリヴィエラ」である。

ここから再びブギウギな方向に戻って、クラレンス・ヘンリーで有名な「エイント・ガット・ノー・ホーム」をザディコ風に演奏した後、NHK Eテレで放送のアニメ番組『おまかせ!みらくるキャット団』オープニング曲として書かれた中川翔子とのユニット「しょこたん♡はるおみ」の「Neko Boogie」
続いて、ある大物歌手に書いたけどいまだレコーディングが実現していない未発表曲「寝ても覚めてもブギウギ」。そのうち発表されるらしい(笑)
そして、日本のロック史に残る名作アルバム『泰安洋行』から「Pom Pom蒸気」を軽妙な演奏でキュートに聴かせた。

その後、2曲の有名曲をポルカとカントリー風に演奏した後、この日のスペシャル・ゲストとしてブギウギ・ピアニストの斎藤圭土がステージに呼ばれる。先ずは、彼のソロ・ピアノで圧倒的なブギウギ・ピアノの演奏を聴かせた後、バンドと一緒に『Heavenly Music』にも収録されている有名曲「カウ・カウ・ブギ」を。
細野さんの人柄と朴訥な歌声で、会場には終始リラックスした気持ちのいい空気が漂う。リトル・リチャードもルイ・ジョーダンもノスタルジックなカントリー風の軽やかな音楽に料理されている。

ここでまた、細野さんオリジナルの「スポーツマン」「ボディ・スナッチャーズ」。前者は高橋幸宏との\ENレーベルから発表された『フィルハーモニー』(1982)、後者はテイチクのNon Standardレーベルから発表された『S-F-X』(1984)に収録された楽曲で、元来は完全なテクノ仕様である。
それを他の演奏同様、カントリー・アレンジで聴かせたのだが、まったくもって違和感なし。細野さん曰く「テクノやってても、如何に僕がカントリー好きだったかって言うね…」とのことである。

この日最後の曲、『Heavenly Music』に収録されたエラ・メエ・モーズの「ハウス・オブ・ブルー・ライツ」を飄々と聴かせると、メンバーは一度ステージから降りた。

幾分まったりした会場のあちこちからアンコールを求めて拍手が起こり始め、その音がピークに達すると再び細野さん達が登場。
アンコールに選ばれたのは、F.O.E.名義で発表されたジェームズ・ブラウンのカバー「セックス・マシーン」と再び『泰安洋行』から「スターダスト」でお馴染みホーギー・カーマイケルの「香港ブルース」



平成27年の日比谷で行われているとは思えないほど昭和レトロスペクティヴな佇まいのコンサートは、これにて終演となった。
細野さんといえば、いつも音楽シーンの最先端を切り開いて来たミュージシャンというイメージがあるけど、2005年の東京シャイネス以降、いい意味でリラックスした自由で風通しのいい音楽活動をしていると思う。

個人的には、もう少し細野さんのかつての名曲を聴きたかったなぁ…という思いはあるにせよ、今の時代にブギウギを演る人なんてそうそういないし、心の凝りをほぐしてくれるという意味では、真のヒーリング・ミュージックに酔いしれた一夜だった。
それにしても、この日の細野さんって何だか日本のライ・クーダーみたいだったなぁ…。




【Set List】

1 バナナ追分
2 Mathilda(Freddy Fender)
3 Susie Q(Dale Hawkins)
4 いたずらがき
5 ルーム・キー
6 Ain’t Got No Home(Clarence Henry)
7 Neko Boogie
8 寝ても覚めてもブギウギ(未発表曲)
9 Pom Pom蒸気
10 Beat Me Daddy , Eight to the Bar
11 Down The Road A Piece(Amos Milburn)
12 斎藤圭土 Piano solo
13 Cow Cow Boogie with斎藤圭土
14 Tutti Frutti
15 Ain’t Nobody Here But Us Chickens(Louis Jordan)
16 Sports Men
17 Body Snatchers
18 The House Of Blue Lights(Ella Mae Morse)

-encole-
1 Sex Machine
2 Hong Kong Blues

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