2015年1月17日、東新宿のライブハウス真昼の月・夜の太陽でNAADAが出演するライブ・イベント「夜の扉を開ける」を観た。
僕がNAADAのライブを観るのは、これが37回目。前回観たのは2014年9月6日、場所は同じ真昼の月・夜の太陽だった。
彼らにとって今年初となるライブで、前回からは4か月以上のインターバルである。
NAADA : RECO(vo)、MATSUBO(ag) + 宍倉充(b)、笹沢早織(pf)
では、この日の感想を。
1.sunrise
NAADA久しぶりのライブは、オーヴァーチュア的な短めの新曲でスタート。ある意味、この日の演奏を象徴するような濃密に凝縮された1曲だった。
新鮮さを感じさせるコーラス、いつもとはややテイストの違う曲調、そして直截的でありながら深遠さを感じさせる歌詞。それを、揺るぎない歌と演奏で聴かせてくれた。
2.Humming
クリアーな笹沢のピアノの音色とRECOの豊かな声量で始まる演奏は、開放感溢れるアレンジが素晴らしい。圧倒的な音圧とオリジナリティ。
ただ、後半になってちょっとした音ムラを感じたのが残念だった。
3.RAINBOW
この曲の演奏は、とてもストレートなものであった。明確な演奏スタイルとギミックを排した正攻法の演奏が、説得力を伴って聴く者に迫って来る。まったく無駄も隙もない演奏である。
ギター、ベース、ピアノ三者とも音の骨格がハッキリしていて、演奏に込められたパフォーマーの意図がダイレクトに響いて来た。
4. Little Fish
RECOの歌の力が、ダイレクトに伝わるアレンジと演奏である。特に、笹沢の奏でるフレーズが印象的だ。この曲が本来持っているキュートな小品という感じではなく、この日の演奏はややボトムの低いものであった。
5.fly
もはや、彼らのライブでは定番の曲と言っていいだろう。いつも以上に重心の低さを感じさせるソウルフルな歌と演奏が展開した。この日印象的だったのは、疾走するようなグルーヴ感が爽快な宍倉のベース・ラインとスペイシーな笹沢のピアノである。
個人的には、後半の展開で視界が一気に開けるような飛翔感が欲しかったように思う。そこが、少し惜しまれる。
6.空
間違いなく、この日のハイライトと言えるベスト・パフォーマンスであった。いつもとは違う、彼らの挑戦を感じる難易度の高いアレンジで演奏された。
3人による緻密なコーラス・ワークとピアノのみのある意味シンプルな演奏。そこに、RECOの力強いボーカルが加わると、実に見事な音世界が構築された。相当リハーサルで詰めて来たであろうことは、一聴すればすぐに分かる。
前半の演奏は、まるでヨーロッパの深い森の中で音楽を聴いているような水彩画の如き色彩感であった。それが、後半に入るとギターとベースが加わって、ソウルフルな熱い演奏へと表情を変えた。
この日のラストを飾るに相応しい、まさしく熱演であった。
この日のライブは、ソウルフルな濃密さが凝縮した本当に素晴らしい演奏であった。欲を言えば、「Little Fish」と「fly」の演奏にもう少し違った表情があっても良かったようにも思うが、まあそれは贅沢に過ぎるか。ファンとは、まったくもって欲深いものである。
とにかく、演奏のコンセプトが明確で、聴かせる音にまったくブレがなかった。しかも、そこには相当にハードルの高い挑戦がなされていた。まさに、攻めの演奏だった訳だ。
もちろんパーフェクトではないが、しっかりと手応えを感じさせてくれる意義深いライブだったと思う。 また、この日はPAも良くて、彼らの音像をしっかり具現化できていたのも特筆に値する。
2015年最初となるNAADAのライブは、彼らの更なる躍進を確信させるとても充実したパフォーマンスであった。
次のライブの予定は未定だが、楽しみに待ちたいと思う。