2015年3月20日、国立NO TRUNKSでスガダイロー& Wマサのライブを観た。この日のトリオは、言うまでもなくかの山下洋輔トリオを意識したものである。
NO TRUNKSのマスター村上寛さんは、福間健二監督『あるいは佐々木ユキ』 にユキの父親役でお店共々出ていた人である。また、この日は『わたしたちの夏』や『あるいは佐々木ユキ』に出演していた吉野晶さんもお見かけした。
僕がこの店に来たのはこれが二度目で、前に来たのは2009年9月19日渋さ5ライブの時である。この時のピアノが、スガダイローさんであった。スガダイローさんといえば、僕が彼の演奏を聴くのはこれが3度目。前回聴いたのは、2013年3月25日の吉祥寺STAR PINE’S CAFE「春満開!渋さ吹雪の宴~渋さ者大集合の宴~」であった。つまり、二年ぶりということだ。久しぶりのスガダイローさんは、すっきりしたルックスになってて驚いた(笑)
NO TRUNKSのマスター村上寛さんは、福間健二監督『あるいは佐々木ユキ』 にユキの父親役でお店共々出ていた人である。また、この日は『わたしたちの夏』や『あるいは佐々木ユキ』に出演していた吉野晶さんもお見かけした。
僕がこの店に来たのはこれが二度目で、前に来たのは2009年9月19日渋さ5ライブの時である。この時のピアノが、スガダイローさんであった。スガダイローさんといえば、僕が彼の演奏を聴くのはこれが3度目。前回聴いたのは、2013年3月25日の吉祥寺STAR PINE’S CAFE「春満開!渋さ吹雪の宴~渋さ者大集合の宴~」であった。つまり、二年ぶりということだ。久しぶりのスガダイローさんは、すっきりしたルックスになってて驚いた(笑)
それで、もう一度彼女の演奏を聴きたかったのだが、「できれば、スガダイローさんのピアノと一緒に聴きたいよな…」と思って、この日シネマヴェーラ渋谷で上映している神代辰巳監督『赤線玉の井 ぬけられます』と『青春の蹉跌』二本立てを蹴って、こちらに足を運んだ訳だ。
スガダイロー(pf)、纐纈雅代(as)、服部マサツグ(ds)
では、この日の感想を書きたい。
第一部
1 曲名なし(45分)
スガが弾く出だしのピアノの旋律は、何だか幾何学的なセロニアス・モンクといった感じである。そこに、疾走感とストイックさを兼ね備えた服部のドラムスが被さる。途中から纐纈のアルトがブロウで入って来るのだが、フリーのフォーマットで演奏しながらもその佇まいは明確な音楽的意図で語り合う会話がしっかりと聴こえる。
ソウルフルな調べは、コンテンポラリーなブランニュー・スウィングとでも表現したくなる熱さで、気持ちが高ぶる。
どんなにフリーキーに激しくブロウしても、歌が聴こえてくる纐纈のサックスに痺れる。前屈み気味に顔をしかめてサックスに息を吹き込む彼女の姿が、実に恰好いい。時にふっとアイラーが脳裏をかすめる。
スガダイローといえば山下洋輔譲りの圧倒的な早弾きが印象に残るが、僕としてはむしろ要所要所で絶妙に奏でられる歌心溢れるバラード・プレイに心掴まれる。
長尺演奏の後半、フリーキーでパワフルなトリオ演奏は、崩壊のマーチとでも表現すべきグルーヴの本流であった。圧巻のピアノとドラムスが、激しく火花を散らすエキサイティングな展開。そこから、タイム感が素晴らしいドラム・ソロと続く。
次のアルトの旋律が、何となく都々逸のように聴こえてユニークだ。何と言うか、フランク・ザッパ的な諧謔のメロディである。
それらの音がひとつの方向にまとまり始め、ラストはスガダイローの美しい旋律が舞って演奏は終わった。
秩序と混沌の45分である。
第二部
2 卑弥呼(20分)
何処か法竹を思わせるようなサックスの調べに、詫び寂を感じるピアノのメロディ。何やら純邦楽とジャズの音空間を自由に行き来する演奏が、スリリングである。解体と構築のアンサンブルとでも言うべき、どんなにフリーでも損なわれることのない演奏。
とてもよく歌うドラム・ソロから息の合った三人プレイに戻るところが、実に決まっている。そこからいや増すスピード感ある怒涛の演奏でフィナーレ。
3 Billie’s Bounce(10分)
このトリオならではのユニークなファニー・スウィング曲。スクエアなリズムに乗って、噛みつくようにブロウするパンキッシュなサックス。アタックの強いピアノ。
まるで、猫の目のようにクルクルと表情を変える演奏が刺激的だ。
4 You Don’t Know What Love Is(10分)
繊細で美しいスガダイローの真骨頂ともいえるバラード・プレイ。むせび泣くサックスのフレーズ。気だるく夜のビートを刻むドラムス。週末の国立の街に沈み込むブルースの調べ。オーディエンスの拍手に応えて、ふっと顔を緩める纐纈の表情が愛らしい。
夜のしじまに溶け込むようなピアノ・ソロに、ドラムスのブラッシュ・ワークが添えられる。
三人の演奏に戻って、ストレートなブロウを聴かせる纐纈。ピュアでドラマチックに盛り上がって、演奏は終わる。
5 鴉の結婚式(15分)
不安を煽るような不協和音の中、さりげなく挿入される「結婚行進曲」のワン・フレーズ。そこから、性急なシャンソンとでも言うべき演奏にチェンジすると、さらにスピード感を増してアグレッシヴな演奏に突入して行く。スガダイローが面目躍如の早弾きを披露するが、メロディは一切破綻することがない。何となく、R.I.O.的文体の音に血沸き肉躍る。シンプルに恰好いい。
トライバルなドラム・ソロが続き、入るタイミングをうかがう二人。そして、圧倒的なトリオ・プレイでの大団円。
6 encore(4分)
会場のアンコールに応えて、再びステージに戻ったメンバー。性急でパンキッシュな演奏は、三人の個性を凝縮したような濃密さであった。
いやはや、本当に最高のライブであった。
繰り返しになってしまうが、基本的にはフリー・ジャズのフォーマットで演奏されるのだが、どんなに激しい展開を見せてもしっかりとメロディが聴こえるところが素晴らしい。
僕は、全神経を耳に集中して三人の演奏を一音たりとも漏らさぬように聴き入ってしまった。
演奏を終えたスガダイローさんに、(僕としては)遠慮しつつ話しかけたのだが、彼は嫌な顔一つせず気さくに応じてくれた。もちろん、最初はジャズの話をしていたんだけど、そのうち話題は『MOOSIC LAB 2015』(森孝介監督のスガダイローさんを追ったドキュメント『劇場版 しろぜめっ!』がエントリーしている)に移って、最後はなぜか神代辰巳の映画について話していた。まったくもって、僕の悪い病気である(笑)
それから、纐纈さんとも少しだけ言葉を交わせた。叶うなら、このトリオに不破大輔さんと若林美保さんを加えて「解禁3」を企画して欲しいものである。もし実現したら、解禁を通り越して失禁しそうだけど(笑)
桜井さん、是非ともお願いします!!
そんな幸せに包まれた国立の夜だった。僕は、国立から大学通りをずっと歩いて谷保駅に向かったのだった。
メンバーの皆さん、お疲れ様でした。
スガダイロー(pf)、纐纈雅代(as)、服部マサツグ(ds)
では、この日の感想を書きたい。
第一部
1 曲名なし(45分)
スガが弾く出だしのピアノの旋律は、何だか幾何学的なセロニアス・モンクといった感じである。そこに、疾走感とストイックさを兼ね備えた服部のドラムスが被さる。途中から纐纈のアルトがブロウで入って来るのだが、フリーのフォーマットで演奏しながらもその佇まいは明確な音楽的意図で語り合う会話がしっかりと聴こえる。
ソウルフルな調べは、コンテンポラリーなブランニュー・スウィングとでも表現したくなる熱さで、気持ちが高ぶる。
どんなにフリーキーに激しくブロウしても、歌が聴こえてくる纐纈のサックスに痺れる。前屈み気味に顔をしかめてサックスに息を吹き込む彼女の姿が、実に恰好いい。時にふっとアイラーが脳裏をかすめる。
スガダイローといえば山下洋輔譲りの圧倒的な早弾きが印象に残るが、僕としてはむしろ要所要所で絶妙に奏でられる歌心溢れるバラード・プレイに心掴まれる。
長尺演奏の後半、フリーキーでパワフルなトリオ演奏は、崩壊のマーチとでも表現すべきグルーヴの本流であった。圧巻のピアノとドラムスが、激しく火花を散らすエキサイティングな展開。そこから、タイム感が素晴らしいドラム・ソロと続く。
次のアルトの旋律が、何となく都々逸のように聴こえてユニークだ。何と言うか、フランク・ザッパ的な諧謔のメロディである。
それらの音がひとつの方向にまとまり始め、ラストはスガダイローの美しい旋律が舞って演奏は終わった。
秩序と混沌の45分である。
第二部
2 卑弥呼(20分)
何処か法竹を思わせるようなサックスの調べに、詫び寂を感じるピアノのメロディ。何やら純邦楽とジャズの音空間を自由に行き来する演奏が、スリリングである。解体と構築のアンサンブルとでも言うべき、どんなにフリーでも損なわれることのない演奏。
とてもよく歌うドラム・ソロから息の合った三人プレイに戻るところが、実に決まっている。そこからいや増すスピード感ある怒涛の演奏でフィナーレ。
3 Billie’s Bounce(10分)
このトリオならではのユニークなファニー・スウィング曲。スクエアなリズムに乗って、噛みつくようにブロウするパンキッシュなサックス。アタックの強いピアノ。
まるで、猫の目のようにクルクルと表情を変える演奏が刺激的だ。
4 You Don’t Know What Love Is(10分)
繊細で美しいスガダイローの真骨頂ともいえるバラード・プレイ。むせび泣くサックスのフレーズ。気だるく夜のビートを刻むドラムス。週末の国立の街に沈み込むブルースの調べ。オーディエンスの拍手に応えて、ふっと顔を緩める纐纈の表情が愛らしい。
夜のしじまに溶け込むようなピアノ・ソロに、ドラムスのブラッシュ・ワークが添えられる。
三人の演奏に戻って、ストレートなブロウを聴かせる纐纈。ピュアでドラマチックに盛り上がって、演奏は終わる。
5 鴉の結婚式(15分)
不安を煽るような不協和音の中、さりげなく挿入される「結婚行進曲」のワン・フレーズ。そこから、性急なシャンソンとでも言うべき演奏にチェンジすると、さらにスピード感を増してアグレッシヴな演奏に突入して行く。スガダイローが面目躍如の早弾きを披露するが、メロディは一切破綻することがない。何となく、R.I.O.的文体の音に血沸き肉躍る。シンプルに恰好いい。
トライバルなドラム・ソロが続き、入るタイミングをうかがう二人。そして、圧倒的なトリオ・プレイでの大団円。
6 encore(4分)
会場のアンコールに応えて、再びステージに戻ったメンバー。性急でパンキッシュな演奏は、三人の個性を凝縮したような濃密さであった。
いやはや、本当に最高のライブであった。
繰り返しになってしまうが、基本的にはフリー・ジャズのフォーマットで演奏されるのだが、どんなに激しい展開を見せてもしっかりとメロディが聴こえるところが素晴らしい。
僕は、全神経を耳に集中して三人の演奏を一音たりとも漏らさぬように聴き入ってしまった。
演奏を終えたスガダイローさんに、(僕としては)遠慮しつつ話しかけたのだが、彼は嫌な顔一つせず気さくに応じてくれた。もちろん、最初はジャズの話をしていたんだけど、そのうち話題は『MOOSIC LAB 2015』(森孝介監督のスガダイローさんを追ったドキュメント『劇場版 しろぜめっ!』がエントリーしている)に移って、最後はなぜか神代辰巳の映画について話していた。まったくもって、僕の悪い病気である(笑)
それから、纐纈さんとも少しだけ言葉を交わせた。叶うなら、このトリオに不破大輔さんと若林美保さんを加えて「解禁3」を企画して欲しいものである。もし実現したら、解禁を通り越して失禁しそうだけど(笑)
桜井さん、是非ともお願いします!!
そんな幸せに包まれた国立の夜だった。僕は、国立から大学通りをずっと歩いて谷保駅に向かったのだった。
メンバーの皆さん、お疲れ様でした。